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西和賀町に、ふるさとブックオフ1号店がやってきた

2023年8月2日、岩手県西和賀町にある「湯本屋内温泉プール」のロビーに「ふるさとブックオフ西和賀町湯本屋内温泉プール店」が、オープンしました! ふるさとブックオフとは、ブックオフにお売りいただいた絵本・漫画・書籍などを委託販売してもらうスペースのこと。ブックオフの有志ら5人が「書店がない地域のみなさんにも本に親しんでもらいたい」「古本を扱うブックオフとしてできることを」と考えて企画しました。

ふるさとブックオフ1号店の様子。

今回のプロジェクトにご賛同いただいたのが、西和賀町でした。まずプロジェクトメンバーが現地を視察。何度も打ち合わせを重ねて、ようやく1号店のオープンに至りました。同町とは、同年7月に地域連携協定を締結しています。

プールを利用する家族連れのお客様をターゲットにしたスペースには、ロングセラーの書籍や文庫本、児童書・漫画のほか、同町からリクエストがあった英語の絵本も含め約3,000冊がズラリ! オープン初日は多くの方でにぎわいました。

廃校の本棚を運んでいるところ。
ふるさとブックオフには、廃校の本棚を活用。図書館のような温かい空間に。
ふるさとブックオフのプライスPOP。
1冊あたり100~300円(税込)で販売しています。

西和賀町ってどんなところ? 町民の反応は

ちなみに西和賀町、一体どんなところなのかと言いますと……。
秋田県との県境にある人口4,894人(2023年9月末現在)ほどの小さな町。人口の減少に伴って約20年前に新刊書店が閉店してしまい、本を買うときはネット注文するほか、車で30分以上かけて最寄りの書店を訪れる町民もいたといいます。

西和賀町の街並み。
奥羽山脈に囲まれた自然の美しい町。例年の積雪は約2m、降雪量は10mほどになることも。

西和賀町振興課主査の高橋直幸さんは、オープン当日を次のように振り返ります。
「オープンした瞬間に子供たちが駆け寄り、夢中で本を読んでいる姿を見てとても感動しました。私も子供の頃、町内唯一の書店まで自転車をこいでいたとき『どんな本と出会えるだろう』とワクワクしていた気持ちを思い出しました。多くのメディアに取り上げていただいて地域の活性化につなげられましたし、町民のみなさんには本をきっかけに世界を広げていただけたらうれしいですね」。

ふるさとブックオフの運営を担う西和賀町水泳協会の会長・高橋健郎(たてお)さんも「オープンは大成功でした! この施設は平日の利用客はほとんどいなかったのですが、ふるさとブックオフができてから来場者が増え、うれしく思っています。町民のコミュニティスペースとして親しんでいただきたいですね」と喜ばれていました。

ふるさとブックオフがオープンして子供たちでにぎわう様子。
オープン当日は子供たちをはじめ、たくさんのお客様でにぎわいました。

企画したメンバーの想い

このプロジェクトを企画・実行してきたのは、ブックオフで働く5人。普段は店舗や本部、商品センターに勤務する、ふるさとブックオフとは全く関係のない仕事をする面々です。彼らにとっても、このプロジェクトは「初めて」の連続。試行錯誤しながらも、強い意志を持って推進してきました。リーダーの平居宏朗さんは、次のように話します。

ふるさとブックオフ企画メンバーの平居さん。

リユースECセンター運営部 販売企画グループ
平居宏朗さん

本が大好きで、これまでに読了した本は1万冊以上。自身も書店のない地域で生まれたが、読書家だった両親の蔵書や図書館の本などを読んで育った。

三方よしのスキームを構築!

私は普段ブックオフECサイトの運営に携わっているのですが、商品センターには本当にたくさんの本があるんです。以前は「自治体に買い取ってもらえれば地域の活性化にもつなげられる」と単独で自治体に働きかけていたのですが、うまくいかず。押し売りのように思われてしまったのかもしれません(笑)。そんなとき「ミライカイギ※」で地域貢献に関わるチームメンバーを募っていて「これだ!」と参加を決めました。

※社員から投票で募ったアイデアを社員の手で形する社内イベント。

ふるさとブックオフのプロジェクトメンバー。
ふるさとブックオフのプロジェクトメンバー(右から野口敬充さん、伊神純一郎さん、平居宏朗さん、上田正一さんとメンターの小金井真吾さん)

プロジェクトチームで取り組むことにより、持続可能なスキームを作り上げることができました。それが「富山の薬売り方式」、つまり委託販売です。この方法なら運営パートナーが赤字にならず、在庫を抱えることもない。なにより弊社・自治体・お客様の三方よしになります。これはブックオフが大切にしている考え方で、図らずもそれを体現できました。私1人では実現できなかったので、関わった全ての方に感謝を申し上げたいです。

ふるさとブックオフの準備をするメンバー。
西和賀町のふるさとブックオフに送る本を準備するメンバー。

西和賀町水泳協会の皆さんはとても熱意があり、積極的に動いてくださっていて、御縁があって本当によかったと思います。収支的には100冊ほど売れたらいいなと考えていたんですが、8月・9月合わせて約800冊も販売できました。県外からもお客様が来るようになったと聞いていますし、新しい人流ができたことで地域活性化に貢献できたのではと思います。

1号店で得た知見や改善点を活かして、現在は2号店の準備を進めています。ふるさとブックオフは書店のない地域に提案するプロジェクト。本を通じて得られるものはとてもたくさんありますし、地域格差を解消するためにも日本全国に広げたいですね。全国の熱意ある自治体の方々やパートナー企業・運営者様を募集しています。ぜひ声を掛けていただきたいです!

ふるさとブックオフ 問い合わせ先
https://www.bookoffgroup.co.jp/contact/form6.html

ふるさとブックオフ西和賀町湯本屋内温泉プール店
住所:西和賀町湯本30 地割82 -1
営業 :10 :00~18 :00(夏・冬季は変更の可能性あり)
休み :月曜(月曜が祝日の場合は翌日)

TEXT:伊藤奈緒子
PHOTO:ふるさとブックオフプロジェクトメンバー、米本敦美
取材:米本敦美
協力:ブックオフをたちよみ編集部

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